文字のサイズ

御親示【ごしんじ】

御親示【ごしんじ】

相続講(そうぞっこう)創設 ―国際社会を救う灯火へ―

 約千五百年前、我が国に伝来した佛教は、古来の神道と渾然(こんぜん)一体化した神佛習合のみ教えとして開花し、緻密且つ論理的、体系的に教法の深奥(しんおう)化がはかられたのでした。それは日本人の生活はもとより、文化、芸術等の基底を成して、世界に比類のない日本文化を築き上げたのです。

 また、平成二十二年、本願寺文化興隆財団が日本政府の要請を受け、スリランカの世界遺産・佛歯寺(ぶっしじ)で日本佛教を総じて展示する世界初の国際佛教博物館日本館を開館した際も「大乗佛教の至極(しごく) 日本佛教」との称賛をアジアの佛教国のみならず、欧米からも受けました。

 しかしながら、近年、日本佛教は陰りを見せ、それと並行するように国際社会も混迷の極みを続けています。今こそ、世界最高の深博無涯(しんぱくむがい)の境地に達した日本佛教を再興し、これを以て現代社会を救済すべく、相続講を東本願寺東山浄苑に創設します。

 相続講とは、遠くは浄土真宗開立(かいりゅう)の祖蓮如上人、近くは明治期の廃仏毀釈を乗り越えた東本願寺第二十一世厳如(ごんにょ)上人の至願(しがん)である「勧学(かんがく)布教、学事の振興」を顕現するための一大僧伽(さんが)で、広く佛縁を育み、御法義、すなわち、佛法を「相続」することを目的とした組織であります。

 そもそも講は、中世に蓮如上人が郷や惣村の寄合に作られた法座から始まり、そこに集った人々は「同一念仏 無別道故(むべつどうこ)」のみ教えを体して佛法を語り合い、互いの連携感や信仰心を深め合ったのでした。

 やがて、講の精神は、相続講として厳如上人に引き継がれ、信心の再興を目指します。その主旨は日本人のみならず、明治期に訪日した後のロシア皇帝となるニコライ二世をも感銘させ、多額の懇志が寄せられる等、広く海外にも一筋の光明として輝きを放ったのでした。

 この度の相続講は日本佛教の再興と、蓮如上人、厳如上人の大望(たいもう)を現代に実現するため、発足します。そして、前世と今生の不可思議な佛縁によって、当浄苑に納骨された方、あるいは、東本願寺の門徒のみならず、広く佛法に心ある人、団体、法人にまで参加を呼び掛け、佛法の体得と日本文化の昂揚、さらには、佛教徒と日本人であることの誇りと悦びを体現する人材を育成します。

 相続講が佛法をいただいて善き友と共に生きる「無別道故」の世界を顕現し、講員各自が当浄苑に手足を運んで御同朋(おんどうぼう)、御同行(おんどうぎょう)として日本佛教を再興するとともに、その智恵が混迷する国際社会を救う新たな灯火として人類共通の叡智となることを心より願ってやみません。

合掌

平成二十七年六月二十七日

              本願寺法主
              本願寺文化興隆財団理事長
              東本願寺東山浄苑苑主
                釋 經 如

PDFはこちら

お問い合せ先:東山浄苑東本願寺 尚書(総合受付)

東山浄苑 電話番号

ページの先頭へ